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2006/11/19

FMV-BIBLO NB8/90DR, Cannon PIXUS iP3100, and Debian sarge

この半年ほどデスクトップ用途で FMV-BIBLO NB8/90DR というノート PC 上で Debian GNU/Linux 3.1 (sarge) を動かしています。

今週末の空いた時間を利用して、このマシンに USB で接続した Canon PIXUS iP3100 で印刷できるように設定しました。

マシン自体の発売が2001年10月と比較的古いのに対し、PIXUS は2004年10月発売と比較的新しいので、1つの事例として参考になるかと思い以下に手順を記載します。

実際の作業に計4時間程度かかったことに注意してください。

  1. 準備

    まず USB 接続が有効になっているかどうかを確認します。そのためには

    $ lspci -v

    というコマンドを実行します。出力される内容から、USB 接続に必要なモジュールとして USB-OHCI が必要になることが分かります。

    しかしデフォルトの状態ではこのモジュールは組み込まれていません。

  2. カーネルのソースの取得

    モジュールを組み込んで USB 接続を有効にするためにカーネルを再コンパイルします。

    まず次のようにしてパッケージになっているソースを取得します:

    $ sudo apt-get install kernel-source-2.6.8

    これでソースが /usr/src 以下に kernel-source-2.6.8.tar.bz2 というファイルとして取得できます。別途モジュールのソースなどは特に必要ありません。

  3. カーネルの再コンパイル

    コンパイル作業に利用するコマンドをパッケージとして取得します:

    $ sudo apt-get install fakeroot kernel-package

    以下 root 権限で作業します:

    # cd /usr/src
    # tar jxf kernel-source-2.6.8.tar.bz2
    # cd kernel-source-2.6.8
    # make menuconfig

    ここで適切なモジュールを選択することになります。たくさんのオプションについて判断を求められますが、結果として /usr/src/kernel-source-2.6.8/.config が次のような行を含むようにします:

    # grep 'CONFIG_USB\(=\|_OHCI\)' .config
    CONFIG_USB=m
    CONFIG_USB_OHCI_HCD=m
    

    そしてコンパイルを行います。途中、重複するバージョンのカーネルイメージや initrd に関する警告が出るかもしれません。revision として任意で biblo.0.0 を指定しています。

    # make-kpkg clean
    # fakeroot make-kpkg --initrd --revision=biblo.0.0 kernel_image
    # dpkg -i ../kernel-image-2.6.8_biblo.0.0_i386.deb

    ここまでで /boot 以下に新規に System.map-2.6.8、config-2.6.8、initrd-2.6.8、vmlinuz-2.6.8 ができており、/boot/grub/menu.lst が更新されていることを確認します。

  4. 再起動

    新しいカーネルで再起動します。起動時に kernel-2.6.8 が選択されているかどうか確認し、されていない場合は明示的に指定してください。

    詳細な起動メッセージを後から確認するためには

    $ dmesg

    を利用します。

  5. ドライバーのインストール

    素晴らしいことに PIXUS のドライバーが Debian パッケージとして公開されています:

    Debianプリンタドライバパッケージ

    上のサイトの説明に従って apt の source.list を更新します。そして

    $ sudo apt-get install libcnbj-2.5 bjfilter-2.5 pstocanonbj

    を実行するとインストールできます。

  6. 接続確認/印刷テスト

    http://localhost:631/printers

    cupsd が動作していれば、ブラウザから http://localhost:631/ というアドレスでプリンタの設定を行うことができます。電源の入っている PIXUS が USB 接続されていれば、ローカルプリンタとして PIXUS が選択肢に出てくるでしょう。

    最後に実際の印刷を試すために、A4 のテストページを印刷します。各プリンタのページからテストページの印刷が可能です。

手順は以上です。非常に参考になったページを以下に挙げます:


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