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OSS 維持のための信託

先月、エンタープライズ向けに OSS によるソリューションを提供している会社の役員の方々と話す機会がありました。その話の中で「いかにして OSS (またはフリーソフトウェア)をオープンソース(またはフリー)の状態で長期的に開発できる資産を維持するか」という話題が出てきました。その方々は真剣にこの問題に取り組んでおられることが分かり、強く感銘を受けました。

実際、企業が著作権を持つソフトウェアの場合、大きく2つ乗り越えなければならない問題があります:

  1. 買収や議決権行使によって影響を及ぼされるケース
  2. 経営破綻によって債権者から影響を及ぼされるケース

前者のケースの例としては Oracle が Sun に対して行った買収が該当します。また、株式会社ではなく NPO などの法人なら最初のケースは回避できる可能性があります。しかしそういった法人でも後者のケースは免れません。国内なら自治体が破綻することもあるのです。

後者のケースに対抗する1つの策として今回提案するのが、信託を利用するという枠組みです。

日本では2006年に80年ぶりに大きく信託法が改正されました。改正の結果さまざまな種類の信託が可能になりました。そして「受益者の定めのない信託」という目的信託が、OSS のための財産を維持するために使えるのではないかと考えています。

信託に馴染みのない方は投資信託などを連想されるかと思いますが、一般には信託契約とは

から成り立つものです。

信託財産は受託者にとって特別な財産であり、仮に受託者が破産しても差し押さえられないことが定められています。つまり信託財産を債権者が債務の代わりに相殺することが禁じられています。

仮に企業の資産(の一部)を「特定の OSS の開発のために維持管理すること」として信託が成立したとします。このときその資産は信託財産として特別扱いされます。後者のケースを防ぐことができるのです。

ポイントは

という点です。

もちろん信託が成立するための条件を厳密に満たしていることが前提です。また、これだけでは前者のケースを救えないので、他の対策と組み合わせる必要があります。あくまでここで述べていることはアイデアですので、具体的には法律の専門家に確認するべきです。


© 2006-2010 Takeshi Abe