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2015年における LibreOffice の開発をログから振り返る

来たる2016年1月9日(土)に大阪で LibreOffice mini Conference 2016 Japan が開催されます。国内から LibreOffice のユーザー、開発者、そして LibreOffice プロジェクトで活動するボランティアが集まる年に一度のイベントです。有識者による発表はもちろん、ライトニングトークやラウンドテーブルもある盛り沢山の内容となっています。LibreOffice に興味のある方はどうぞお見逃しなく。参加登録はこちら: http://libojapan.connpass.com/event/23688/

この記事は LibreOffice Advent Calendar 2015 の12月25日分です。

2015年も残すところ1週間足らずとなりましたが、この1年のうちに LibreOffice は順調にリリースが進められました。

LibreOffice 4.4
LibreOffice 4.4 Release Notes
LibreOffice 5.0
LibreOffice 5.0 Release Notes

そして LibreOffice 5.1 もRC版が公開されており、おそらく来年2月頭にリリースされる予定です。

今回は LibreOffice の git レポジトリの master ブランチのコミットから、2015年になされた変更を追いました。Git では各コミットにはその変更がなされた日付がともないますが、レポジトリに push されるまでさらに時間がかかっている場合が多いことに注意してください。24c52aaeb99984cc62c7235430a107d34e0d6e3b が2015年最初の master におけるコミットと仮定すると、

$ git log --oneline 24c52aaeb99984cc62c7235430a107d34e0d6e3b^1.. | wc -l
18716

となるように19,000件近くのコミットがあります。バージョンごとの新規機能や相互運用性の改善はリリースノート等で取り上げられていますので、そういったもの以外で面白いものを探しました。特に、歴史が感じられるもの、トリビア、ネタを選んでいます。

以下のリストは(おおよそ)上から順に1月から12月へ向かっています。

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OpenCL 実装において疑似乱数を生成する上で CBRNG を利用するようになった。
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C++11 の機能の恩恵を受ける。
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C++11 の lambda も使われ始める。
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乱暴なコミットメッセージ。
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Dr. Memory を使ってメモリに関するバグを検出するようになる。
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単体テストに Dr. Memory などのツールを使うプラクティスが確立する。
ca07d5bef335b220139b858a5b54aa62983a66e1
トルコ語i2種類あるという話。
468aaa1bcf96c86c4a33b5dcd0aabb41e14b042d
バージョン5.0.0.0.alpha0+のタグが打たれる。ただしプロファイルは4のまま。
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メルセンヌ・ツイスタによる疑似乱数生成で用いるシードをよりランダムなものにする。
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クリップアートギャラリーに含まれるPNG画像を最適化したら887KBも節約できたとのこと。
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乱暴なコミットメッセージ、その2。
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バージョン5.1.0.0.alpha1+のタグが打たれる。
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Azul Zule という聞き慣れないベンダーによるJREをサポート。
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OS X における既定のテーマを breeze にする。
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「Microsoft がついにキューバの存在を認めたぞ。」
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日本語のふりがな(ルビ)に関する修正。
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XLS ファイルに VBA を保存できるようにする第一歩。
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1997年から18年以上残っていたと思われるバグ。
77104ccd7658cb8f3ac142ea9f7fabc15fc08580
ここ数年活動のない OxygenOffice のための設定を削除。
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Emscripten で LibreOffice を移植しようという猛者がいるらしい。
2e0b9891764bb4cae6ed9a1b111d9b6dafeee92d
編集中の文書を自動保存する間隔を既定で15分から10分に短縮。
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Calc の先頭/末尾シートのボタンが復活します。
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clang-cl 対応に向けて。
52d01bb5caa7950e72b00f7969c5dbccf76d3737
バージョン5.2.0.0.alpha0+に。
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「バージョンが197も上がるからすごく良くなってるに違いない。」
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適切なキャストを使うよう修正。似たような不具合を直す過程でクラッシュを53回も起こしたとのこと。
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「何も訊くな。」
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C++ で RTTI が標準的に利用できなかった時代からの遺物がついに削除された。
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Calc で関数を入力中にカラムと行を選択できるようになります。
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NPAPI に関係する UNO API が無くなります。
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MinGW でクロスコンパイルする技法は失われる模様。
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2001年に生まれた間違いを修正。
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サイドバーが実用的になり、旧来からのツールパネル(通称タスクペイン)は削除される。
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なぜかテストデータが Honda 車を販売するページ。

長くなりましたが、以上のリストから LibreOffice の開発に生き生きとしたものを感じていただければ幸いです。おそらく来年も LibreOffice はさらに多くのユーザーに使われ、さらに多くの貢献に支えられて、より便利なソフトウェアになると期待されます。


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