正の整数\(n\)について、相異なる2つの素数\(p, q\)の\(n\)乗の差が素数になるのはどのような場合かについて考える。つまり、\(p > q\)として、\(p^n - q^n\)が素数になるのはどういうときか?
これに関しては、よく知られている\[x^m - y^m = (x - y) \left( \sum_{i=0}^{m-1} x^{m-i-1} y^i \right)\]という因数分解の公式(ただし\(m > 0\))からかなりのことが分かる。
上の等式で\(m = n, x = p, y = q\)を代入し、右辺をなす2つの因数を比較すると、\(p - q < \sum_{i=0}^{n-1} p^{n-i-1} q^i\)である。\(p^n - q^n\)が素数であるなら、小さい方の因数は1でなければならないので、\(p - q = 1\)であることが分かる。そのような素数の組は\(p = 3, q = 2\)しかない。
さらに、実は\(n\)は素数でなければならない。というのも、もし\(n\)が合成数で\(n = k m\)のように\(k (> 1)\)と\(m (> 1)\)に因数分解できるなら、再び上の公式から\[3^n - 2^n = (3^k)^m - (2^k)^m = (3^k - 2^k) \left( \sum_{i=0}^{m-1} 3^{k (m-i-1)} \cdot 2^{k i} \right)\]と分解できることになってしまうからである。
こうして分かる条件(\(p = 3\)、\(q = 2\)、かつ\(n\)は素数)は必要であるが十分ではない。以下に、いくつかの小さい素数\(n\)について\(3^n - 2^n\)が素数か合成数かをまとめる。
\(n\) | \(3^n - 2^n\) | 素数? |
---|---|---|
\(2\) | \(5\) | ✓ |
\(3\) | \(19\) | ✓ |
\(5\) | \(211\) | ✓ |
\(7\) | \(2059\) | \(= 29 \cdot 71\) |
\(11\) | \(175099\) | \(= 23^2 \cdot 331\) |
\(13\) | \(1586131\) | \(= 53 \cdot 29927\) |
\(17\) | \(129009091\) | ✓ |
\(19\) | \(1161737179\) | \(= 1559 \cdot 745181\) |
\(23\) | \(94134790219\) | \(= 47 \cdot 2002867877\) |
\(29\) | \(68629840493971\) | ✓ |
\(31\) | \(617671248800299\) | ✓ |
\(37\) | \(450283768452043891\) | \(= 8891471 \cdot 50642213021\) |
\(41\) | \(36472994178147530851\) | \(= 821 \cdot 32309 \cdot 99139 \cdot 13869481\) |
\(43\) | \(328256958598444055419\) | \(= 431 \cdot 1196347 \cdot 636618868367\) |
\(47\) | \(26588814218220014932459\) | \(= 1129 \cdot 303168989 \cdot 77681973839\) |
\(53\) | \(19383245658672820642055731\) | ✓ |