On causality as the fundamental concept of Gödel’s philosophy (2018)という論文は哲学について述べているため、論理学について何か新しい知識を説明しているわけではありません。しかし、Kurt Gödelが因果性と論理についていくつか興味深い文章を残していることが分かります。以下に、上の論文で紹介されているそのような例を2つ挙げます。
1つ目は、The meaning of the world is the separation of fact and force.
およびThe meaning of the world is the separation of wish and fact.
という2つの文です。この互いによく似たメッセージからすると、factとforce(またはwish)という2つの異なる対象へ還元することに意義があるとGödelは考えていたようです。force(またはwish)は因果的概念です。
2つ目は、The notion of existence is one of the primitive concepts with which we must begin as given. It is the clearest concept we have. Even ‘all’, as studied in predicate logic, is less clear, since we don’t have an overview of the whole world.
という文章です。これによると、universalityよりもexistenceの方がより原始的だと考えていたようです。古典述語論理では、\(\forall x A\)と\(\neg \exists x \neg A\)とは同値であり、同様に\(\exists x A\)と\(\neg \forall x \neg A\)とは同値であるので、universalityとexistenceとは相互に書き換え可能です。このためどちらが原始的かはあまり意識されません。なので、どの論理的概念が原始的かどうかという話は別の論理を求めるきっかけになるのかもしれません。