近年人気の漫画およびアニメ鬼滅の刃において、主人公である竈門炭治郎がflippismに依存している栗花落カナヲに対して、コイン投げに際し以下のような発言をしています。(竈門炭治郎 立志編 第26話)
表が出たらカナヲは心のままに生きる!
これは名言とされているようですが、続くシーンでなぜ表が出せたかと問われた彼は次のように返答します。
偶然だよ。それに裏が出ても、表が出るまで何度でも投げ続けようと思ってたから
炭治郎のこの発想は確率論に基づいて説明できます。コイン投げのように独立かつ同一なベルヌーイ試行を繰り返せば、1度も裏が出ない確率は試行回数に応じて指数関数的に減衰し、いつか表が出る確率は1に近付きます。
この事実を分かった上で何度も投げようということなので、統計的仮説検定において多重検定ないし多重比較を繰り返すことによって見かけ上有意な結果を得ようというp-hackingと同じ考え方です。同時に、いくつか出た結果を見た上で特定のものを選択しようという点は、selective inferenceとも関係があります。